※一度観ただけなのでうろ覚えな箇所が多々あります。台詞もニュアンスです。
※ところどころガチ恋オタクの妄言が含まれますのでご注意ください。
本文は、2022年9月16日に書き、別の媒体で公開していたものです。
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ただ誰かの大切な何かになりたかった寂しがり屋の少年の物語でした。
突然ジャニーズアイドル岩本照にガチ恋してしまった哀れなアラサー女は、2022年9月13日「ミュージカル キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」夜公演にて、とうとう本物を目の当たりにして参りました。
朝早くから美容院で髪を整え、毛先をメンカラの黄色に染め、綺麗にヘアセットしてもらい……6年間ずっと大好きな三代目や今市隆二くんのライブでも正直ここまでしたことはない。
同年3月に「映画 おそ松さん」を見て以来、Snow Manの魅力に取り憑かれ、ズブズブと沼に沈んでしまった私は、バラエティや過去のライブ映像と、MV、ブログや雑誌に掲載された写真など、媒体越しの岩本照にすら我を忘れるほど浮かれ、熱を上げておりました。
そんな女がとうとう本物と対峙してしまう。喜びが一周まわってもはや怖い。始まったら絶対感極まって泣く。
美容院を出て、車でオリックス劇場に向かう間、もうずーっと心臓はバックバクで。付き添いの妹にはすごく冷めた目で「そんなに?」と言われる始末。うるせえ、私だっておかしいの分かってるよ。
半年前は、まさか自分がジャニーズアイドルを好きになるなんて、ここまで拗らせてしまうなんて思いもよりませんでした。人生初のガチ恋を岩本照に捧げています。恐るべし、ジャニーズアイドル。
とにかくそんなどうしようもない感情を持て余しながら劇場入りした私は、いの一番にひとりグッズ列へ。
ひとりになった途端、ああ、もうすぐ岩本照くんに会えるんだ……という実感がワーッと堰を切ったように込み上げてきて、みるみるうちに目には涙。心臓が口から飛び出そうになって、なんとか気紛らわそうとスマホをいじる手は完全に震えていました。Twitterでフォロワーに弱音を吐き、めちゃくちゃに心配される私。今思えばただただキモい。いったい何が私をそうさせたのか。
開演まで1時間弱。とにかく何も考えないようにしようと妹とひたすら「ミッドサマー」の話をしていましました。グロいシーンを思い返していたら、少し気が晴れました。
席は上の方でしたが、手すりの真ん前だったのでとても見やすかったです。
ドーム用に買っていた馬鹿デカい双眼鏡(隣の人に二度見された)を手に握り締め、開演を今か今かと待ちました。
今回、情報は何も入れずに観ました。
フランク・アバグネイル・ジュニアという人間を、岩本くんだけを通じて知りたかった激重オタクがゆえに。
(余談ですが、前情報入れずに見て少しだけ後悔したことは、私の頭が悪すぎて、フランクが一生懸命説明してくれたにも関わらず、偽造小切手のカラクリが全然分からなくて混乱したことです。)
もともと私はアニメや映画、舞台などといった物語が好きな人間。どうなることかと思いましたが、いざミュージカルが始まってしまえば、その世界観にただただ没頭しました。
目の前にいるのは恋焦がれた岩本照くんではなく、フランク・アバグネイル・ジュニアでした。
「ミュージカルだ!!」
いつもよりうんと高い声の、甘ったるい喋り方。ふとした仕草がキュートで、ダンスや身のこなしがとてもオシャレ。膨大で、途轍もなく速い「語り部のフランク」としての台詞回しも、決して単調にならない。
今日のラジオで岩本くんは「ただ楽しむということしかしてなかった」と言っていたけれど、まさにそう。舞台の上で、10代の無邪気な少年がただ楽しそうに歌って踊っていました。
ただただ、圧倒されてしまいました。
岩本くんのダンスには物語があります。
振り付けの時も、最初に物語を考えると言っていました。
岩本くんのダンスは、重力を感じさせない体幹、手足の捌き方など素人目にも単純に「うまい」と唸らざるを得ない高い技術力も去ることながら、何と言ってもその「表情の豊かさ」が私は大好き。
初めてダンスを見たときの衝撃たるや。クールな印象だったので、てっきり涼しい顔で踊っているものかと思いきや、メロディや歌詞に合わせてくるくると表情が変わる。
TAKAHIRO御大の言葉を借りるなら「ガンシング」。身体だけでなく、顔でも踊る。
そんなふうに「言葉を使わない表現」が達者な岩本くんは、とても舞台やミュージカル向きの人だと思います。
一幕はまるでショーを見ているよう。あっという間に彼の少年時代は駆け抜けていきました。
まだ家族仲もよく、幸せだった頃、ダンスを踊る両親をうっとり見つめるフランク少年は、思えばこの時から家族や夫婦という「誰かにとって大切なもの」への憧れを淡く抱いていたのかも。でも、この時は少なくとも母親にとっては父親が、父親にとっては母親が、そして両親にとって息子である自分自身が「大切なもの」であると信じて疑わなかったはず。
けど、少しずつ雲行きが怪しくなってくる。次第に家族の心はバラバラに。まるでそれと引き換えかのように、彼の才能はどんどん開花していく。
何も悪いことなんてしているつもりはない。ただ無邪気に思ったことを素直にやるだけ。
もしかしたら、ただ褒めて欲しかっただけなのかも…。僕こんなことも出来るんだよって、認めて欲しかったのかも。罪悪感なんてきっと微塵もない。母親には呆れられてしまったけれど、父親には褒めてもらえたことが、すごくすごく嬉しそうだったから。
母親の不倫を目の当たりにしたとき、私の席からフランクの表情は殆ど伺えませんでした。
だけどその広い背中がうんと小さく見えました。生まれて初めて、信じていたものに手酷く裏切られてしまった悲しみが痛いほど伝わってきた。
人は裏切るし、平気で嘘をつくのだと。この出来事が彼のリミッターを外してしまったように思えました。
パイロットに成り代わるまでの経緯はなんとも痛快で、見ていて気持ちが良かったです。
個人的にCAのお姉さんたちに囲われるシーンがめちゃくちゃ好き。「かわいくてきれいな女の子大好き♡」な10代の思春期真っ只中な男の子らしい奔放さがなんとも可愛らしくて。
前後の台詞は忘れてしまったけど、お姉さんに誘惑されて、デレッデレになって「えへへぇ♡」って笑うのも可愛すぎて、勢い余って双眼鏡をへし折るかと。
……てか、すっかり忘れてたけど、この人この間まで蛯原恭介だった人なんだよなあ。
ずっとジャケットやズボンをぎゅっと握り締めてるの可愛かった。感情も豊かで、笑ったり悲しんだり拗ねたり……コロコロと表情が入れ替わる様が、小さな子供みたいで微笑ましい。
大胆不敵で頭のキレる犯行とは裏腹に、無邪気で素直で寂しがり屋な少年。
もうすっかりフランクの事が大好きになっていました。
カールとの電話ボックスのシーンも印象的でした。
16歳という若さで家出をしても追ってこなかった両親。だけどカールは、どこまでも自分を追ってくる。それが、フランクは嬉しかったのかな。彼はどこへ行っても、富や肩書きといった名声を得ても、それらは全部偽物で、本当に欲しいものは何一つ手に入れられなかったから。
二幕から登場した看護師のブレンダはそんなフランクとは真逆の女の子でした。
今までどんな女の子も、フランクのハンサムな容姿や肩書きに、もう声掛けるだけでメロメロ。
だけどブレンダは「医者と看護師は馴れ合ってはいけない」という(たぶんみんな守ってない)規則もきっちり守るような、真面目で嘘のつけない純朴な女の子。
何度話し掛けても無視されちゃうんですよね。まさに所謂「おもしれー女」。
初めて出会うタイプの女の子。もしかしたら初めはただの興味本位だったのかもしれません。
しかし、フランクはどんどん彼女にのめり込んでいきます。
(これ、Twitterにも書いたんですけど、私女遊び派手な男が、真面目で純朴な女の子に本気の恋をする展開がめちゃくちゃ好きなので……死ぬほどキュンキュンしました。)
そしてベッドがステージ中央に運ばれてきたとき、あれほど双眼鏡を握る手に力が籠った瞬間はなかった。
ここまで純粋に物語を追っていたのに、ダビデ像のような見事な岩本照の裸体に一瞬煩悩が顔を覗かせてしまいました。
めちゃくちゃええもん見た。
ブレンダ役の横山由依ちゃんがまた小柄で華奢な方なので、フランクの大きな身体の中にすっぽり収まっちゃうのがまた可愛い。
私、このカップル好き。
頭の中はもうフランクとブレンダの恋模様でいっぱい。
初心なブレンダが「やっぱり怖い」と言ったので、初夜は中断。あの綺麗なお姉さん相手にブイブイ言わせまくってた男が……と思わず感動。いや〜〜〜ほんとにほんとに大好きなんだね、ブレンダのこと。大切にしたいんだね。愛だね。お金では買えなかった本当に欲しかったもの、やっと手に入れたね。
ブレンダは言うんです。「あなたはなんでも持っていて、とてもモテるのに、どうして私なの?(ニュアンス)」って。
でも、フランクも本当は何も持ってないんですよね。そのことに本人も薄々気づき始めてる。
だからこそ、ハンサムな容姿、医者という立派な肩書きには靡かず、ただのフランクを見てくれた彼女に恋をした。
ねえ、めちゃくちゃ良くない????
後から聞いたらちゅーの方法は日替わりらしいんですけど、私の時は上から覆い被さるようなキスで、それがもうめちゃくちゃ良かった。
ごめん、正直されたさしかない。
私も岩本照に上からちゅーされたい。
付き合ってもないのに好きな男の裸やキスが見れるのはオタクの特権だと思うので、あの光景は一生忘れずに生きていこうと思いました。
その後、フランクはブレンダの実家を訪れます。
フランクは母親にずっと可愛い可愛いって顔触られまくって目を白黒させて、小動物みたいに怯えて縮こまっててめちゃくちゃ可愛い。
なんやかんやあって結婚を許してもらって、やっと僕にも家族ができる! と嬉しそうに歌い踊るフランク。ここのダンス可愛かったなあ。ブレンダ抱き上げてくるくる回るのがもう可愛くて可愛くて……。もう可愛いしか言えない。あとふたりの身長差が絶妙。横山由依ちゃん158cm……ふーんなるほどね……(???)
でも幸せはそう長く続かないんです。
父親の元を訪れ「僕結婚するんだよ!家族ができるんだ!」と嬉しそうに報告するフランク。
結婚式の招待状とファーストクラスの航空券。ほらほら! って興奮気味にテーブルに広げてみせるけど、父親は渋い顔。一番にお祝いして欲しかったのにね。母親の再婚も告げられるし、ただただ可哀想で。
追い討ちをかけるみたいに結婚式の当日に追っ手が来ちゃう。
ドレスとタキシード素敵だったのに、結婚式挙げて欲しかったなあ……。
ふたりには幸せになって欲しかったなあ……。
厳格なブレンダの父親は、ずっと自分たちを騙していたフランクに怒り心頭かと思いきや、意外にも冷静に「彼のことを思うなら正しい道に導いてやりなさい」と。
ブレンダが良い子なのは、両親に大切に育てられたからなんでしょうね。
フランクってまともに育ってまともに勉強していれば、きっと本当に何にでもなれたんですよ。パイロットにだって、医者にだって、弁護士にだって。
頭は良いし、素直だし、弁護士の資格は本当に取得していたみたいだし。
(後々のシーンなんですけど、カールに「司法試験はどうしたんだ?」って聞かれてあっけらかんと「勉強したら受かった」って答えるところめちゃくちゃ好き 笑)
フランクは空港で追い詰められ、逮捕されてしまうけれど、カールから直々にFBIへスカウトされて、なんだかとても嬉しそうでした。
君はきっと居場所が欲しいだけだったんだよね。
誰かの大切なものになりたかった。必要とされたかっただけなんだよね。
結局、ブレンダはフランクの出所を待たず、どこかの医者と結婚しちゃうんですよね……悲しい。
当時ならもう結婚適齢期だろうし、8年も待てないよね。
(これまた余談ですが、語り部としてのフランクが「ブレンダは後に本物の医者と結婚した」と言ったときの顔…! めちゃくちゃ可愛かったんですよ! 八の字眉で、唇をこれでもかととんがらせて……拗ね拗ねひーぷん丸の顔を思い浮かべてもらえれば、概ねそのような感じです。尊し。)
願わくばもう一回観たかった。
こうして感想をしたためてる間にも「あれ? ここってどうだったっけ?」となってしまう己のなけなしの記憶力が憎い。
たぶんところどころ時系列とか台詞はグチャグチャだと思うのですが、大目に見てくださると幸いです。
ところで、物語に没頭することで事なきを得たかのように思えたガチ恋オタクですが、カーテンコールはそうもいきませんでした。
何故ならカーテンコールにやってくるのは、フランク・アバグネイル・ジュニアではなく、ジャニーズのアイドルで今回のミュージカル主演、座長を務めた岩本照くんだから。
そのことにはたと気づいてしまった瞬間、身体がカーッと熱くなりまして。
ああ岩本くんだ……本物のSnow Manのリーダー、岩本照くんだ……。
気づけば目にはジワジワと涙が。
そしてなにより、岩本くんがこちらの一角に向かって突然ハッと顔を上げ、ニコニコと手を振ってくるではありませんか。
こういうのは思ったもん勝ちだと思っているので言います。
私、ファンサを受けました。
遠かったけど、確かに目が合いました。
そう信じておきます。
本当にありがとうございました(???)
初めての現場がミュージカルで良かった。
しょっぱなからアイドル岩本照と対峙していたら、たぶん確実に死んでた。
前の晩からガチガチだった私を心配してくださったフォロワーの皆様ありがとうございました。
帰宅してすぐスペースで仲良しの相互さんに感想を話したときに「思いのほか喋れてるね」と言われたのが今になってジワジワきています。
ゴリラにならず、ちゃんと人語が喋れてよかった。
岩本くんにはまたミュージカルに出て欲しいな。絶対観に行く。這ってでも行く。今度は少なくとも2公演は。
ライブは残念ながら当たらなかったけど、沼入りしてわずか半年で御本尊を拝めたことはとても幸運なことでした。
岩本くんを通じてフランク・アバグネイル・ジュニアが大好きになったので映画版も観てみようと思います。
改めまして、大千穐楽おめでとうございました。
この状況の中、一度も止まることなく、誰一人として欠けることなく、全40公演完走。並大抵の事じゃないなと思います。
再三になりますが、岩本くんはじめ、演者の皆様やスタッフの皆様のたゆまぬ努力の結晶でしかありません。
素敵なミュージカルをありがとうございました。
暫くはこの思い出に浸って楽しく生きていけそうです。
本当におめでとうございます。
そして岩本くん、お疲れ様でした。
また板の上に立つ岩本くんを観るのが楽しみです。